2010/08/24

高橋てつや「ペンギン娘」 - 萌えいずる、無意味なサイバー感!

高橋てつや「ペンギン娘」第1巻 
参考リンク:Wikipedia「ペンギン娘」

まずいきなり反省文だけど、いつも自分がおかしいへりくつばっかりこねていて、すみまセーヌ川! 今回はそういうのなくて、かなりあっさりと終わるつもりなので!

さてこの「ペンギン娘」だけど、さいしょから最後まで女の子たちが(パンツ等を見せながら)じゃれあってるだけの、作者さまが言われるところの『ギャルコメ』。いわゆる萌え萌え系、らしきもの。2006年から1年半ばかり週刊少年チャンピオンに掲載、単行本は少年チャンピオン・コミックス全3巻。かつ、後で話題になるはずだが、その続編は「ペンギン娘MAX」として(…略。参考リンク先をご参照)。

別にどうでもいいような作品なんだけど、これは内容じゃなくてスタイルが面白い。実態は知りもしないが、いかにも『パソコンで描いちゃってま~す! ハイテック! IT! サイバー!(?) フューチャリズム!』というふんいきの画面構成が楽しい。
そこに盛り込まれた情報らの、質はぜんぜん高くもない感じだが(?)、しかしその密度がいかす。1回がたったの6ページにずいぶんいろいろなものを詰め込んでいるのだが、けれども『何を?』といったらほとんど何もない(!?)、その空疎さがゆかいだ。

たとえば。わりとスタイルが固まった感じの第1巻・第8話(仮称:花火大会の巻)の扉には、『vol.08』という通し番号がありつつ、しかも『037:浴衣=至高の日本文化』というサブタイトルも見えている。第8のエピソードだから『vol.08』はわかるとして、『037』は何かというと、それはエピソードらの中で分節されたシーケンスらの、全編を通しての番号なのだった。
が、そんな通し番号がなぜ必要なのか…ということもわからないし、そしていちいちゼロをつけて無意味にケタを合わせようとしているムダなデジタル感も、また過剰。さらには画面の床のところに『ペンギンCHECK』として、『浴衣:夏の萌え風物詩のひとつ、ウンヌンカンヌン』などと出ているバカっぽい豆知識もムダさをきわめて過剰!

と、はっきり申せばこの「ペンギン娘」は、1から10までムダ…。いや、0000から00FFあたりまでムダな情報ばかりな作品のような気もするが、しかしその『詰め込まれ感』が、ちょっと自分にはゆかいなのだ。それらがいちいち分節され、圧縮され、しかもナンバリングされていること、それ自体が面白いのだ。そしてともかくも見た目には、21世紀のまんが作品としてのフレッシュネスがそこには『ある』のだ。
という今作なのだったが、けれどもその無印シリーズは、たったの全3巻で終わり。『なあんだ』と思ったところで第3巻のあとがき(BONUS TRACK)を見ると、そこに作者さまから続編「MAX」のお知らせが。

 『(無印→MAXの、)一番の変化は、一話 ごとのページ数が 増えたこと』

それを見て、『マズいかも…』と思った筆者の悪寒は、不幸にも的中。無印ペンギンの、スタイルの面白さ、ごく短いページ数に空疎さが圧縮されている過剰さ、無意味きわまるサイバー感、それらの特徴を失った「ペンギン娘MAX」は、いたってありきたりなパンチラギャルコメになり下がった。
…ようにも思うのだが、そこはそれ、人それぞれの受けとり方がございましょう。と、放り投げて終わーる、ロワール川のさざなみに身をまかせて!

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