2010/03/05

おおひなたごう「おやつ」 - 彼女がムダ毛を処理したら

 
参考リンク:Wikipedia「おおひなたごう」

Late 1990'sの、少年チャンピオン掲載のショートギャグ。たぶんこの作家サマが『インディからメジャーへ』、ブレイクを果たした的な作品(少年チャンピオン・コミックス, 全5巻)。
おおひなた先生のご本はずいぶんたくさん拝見しているようなのだが、週刊と月刊のチャンピオンに載ったやつが面白いと感じる。てゆうか筆者は(ふつうに)そこから入ったので、それ以前にこの作家さまが、むしろサブカルっぽいまんが家でいらしたとは知らなかった。
で、そっちの方もまた、何らかの意味ある創作なのだろうけど…。しかし筆者には、あまりうけてない。

そして今作「おやつ」の作者たるごう先生の特記すべき特徴として、≪形式≫に対してひじょうにコンシャスな作家、でおられる。多種多様なる意味での≪形式≫に対する配慮、それが≪ギャグ≫へと方向づけられているのは、≪エセ形式主義者≫を名のる筆者にはひじょうにうれしくも共感できるところだ。

で、特に。そのチャンピオン掲載作として主要な「おやつ」と「フェイスガード虜」について見れば、それぞれが、よかった時代の児童マンガの悪質なパスティーシュになっている。そして後者があまりにも藤子不二雄チックなので、相対的に「おやつ」は赤塚不二夫的か…などとも見たくなるところで。
そして筆者がこの2作に対してひじょうにひかれるところはというと、『児童まんがのパスティーシュ』という形式のベールの向こう側に、ドロドロとした≪欲動≫のうごめき…それがかいま見られるという点なような気がする(=筆者の申す“悪質さ”)。この2作とも、どこを斬っても面白い傑作だと言えば言えるのだが、しかしテンポよく読んでいる間に≪切断≫を感じるのは、≪欲動≫のうごめきが観察される場面だ。

作例を1つ見ておくと、今作の第3巻のわりと最初の方に載ってる「山脈」というお話(…よく見たらこの本、もくじもなければ、基本的にノンブルもない!)。おやつ君がヒロインのビスコちゃんと気球に乗って、空中デートとしゃれ込んでいる。
そしてその気球は、彼から彼女への『恋の熱』で浮いてるのだという。しかしおやつ君は、フとビスコちゃんの、未処理のワキ毛を見てしまい、やや恋の熱がさめ…。
そして気球もまた、スーッと高度を下げてしまう(ヒロインは小学生のはずなのに、あまりにもワキ毛が黒すぎではッ?)。しかし追って、彼が彼女の胸チラやら何やらを見たりするうちに高度は回復する。そしてムードが高まって、彼女がキスオッケー的な態勢になったのを見て、おやつ君は顔に顔を寄せていく。

が、そこで彼がビスコちゃんの目もとに『目クソ』を見つけてしまったとたん、恋の気球はスットーンと急降下! パニクる2人、そしてビスコちゃんのはいてたクツがいきおいで脱げてしまい、その片方が内側向きで、おやつ君の顔面をヒットする。
そこでおやつ君がモノローグで『くせえ!』と叫んだとたん、恋の気球は逆に、『ビャビャーン』…と急上昇! 異様~に高く高く、成層圏までも(!)浮かび上がるのだった。

…そんなもので大コーフンできるくらいなら、いっそワキ毛もアリじゃね?…などというツッコミを、いたすべき場面なのかどうなのか? そしてご覧の変態ギャグを、≪欲動≫などという自分でもよく分からないよう高尚な用語でどうするッてのか? もはや、何にも言いたくなくなってきたが。
でもま、むりにでもケツ論を言えば。C.M.シュルツ「ピーナツ・コミック」じゃないけれど、今作もまた、実は≪童心≫などというものを描いてはいない…というところに筆者はひかれるようなのだった。今作については、また語ることがあるだろう(←そればかり申しているけど!)。

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