2010/03/15

佐藤まさき「ボクら超常倶楽部です」 - パンチラは阿片である

 
参考リンク:Wikipedia「佐藤まさき」

佐藤まさき先生の初単行本(1997)、月刊少年チャンピオン掲載作、第1巻のみ単行本が出ている状態。
むかしからあるギャグまんが虐待の例として、少年サンデーコミックスは未収録編を多く残した歯抜け状態で刊行され、こちらの少年チャンピオン・コミックスは最終話さえも未収録で刊行を投げ出す(!)。たぶんそこらで今作も、まったくきりのついていない状態で読者に向けて放り出されている。
まあそういうこととは別に、筆者の考えだと、ギャグまんがにはきれいなまとめ、まともな最終回などは別に要らないんだけど。…にしても。

ともあれ、今作がどういうお話かというと。その主人公らしき≪起田クン≫は転校先の中学校で、不運にもむかしの悪友の≪紺情クン≫に再会してしまう。そして彼が部長の『超常倶楽部』に入部させられ、そうしてアホな部員らとのバカげたオカルト探求の冒険にツキ合うハメに…!
お話のさいごまでは読んでないにしても、今作にはそんなには特別さえたところがない。が、後の「未来人間GOGOGO」や「超無気力戦隊ジャパファイブ」の作者の初期作品だとこれを見れば、後の傑作らにつながる特徴が発見できなくはない。

まず、『登場人物が多い』。第1巻のカバーを見ると、狭いところにいっきなり、6人もの超常部員らがひしめきあってる。このように佐藤センセのお作はわりといつも、ギャグまんがにしてはキャラクターが多めなのではなかろうか?
そしてこの「超常倶楽部」は作者の初長編として、いっきなしWヒーローとWヒロインと濃いめの脇役らがワラワラと出てくる…とあっては、ちょっと未整理な感じが否めない。面白くなりそうな感じもあるのだが、惜しくも作劇がついてきていない。特に、Wヒーローのそれぞれがフィーチャーしきれてない。

次に、『劇画チック』というか『スペクタクル志向』というか。今作の第5話で、UFOを捜して野営しているバカらの前に、ついに『それ』が出てくる場面のド見開き(第1巻, p.142)などを見ると、『常にやりたいことはこれなんだなァ』と感じさせられる。が、この作品にては、その要素がただ浮き気味かと見れる。

さらにお話の動因としての、『ラブコメ的趣向』。今作で起田クンがついつい超常倶楽部につきあってしまう理由は、アホたちの中にかわいい女の子がまぎれ込んでいて、その子に関心をいだいたからだ。このように構成の根幹がラブコメ仕立てであるところは、後の「未来人間」にも「ジャパファイブ」にもつながる要素。

で、さいごに『エロス』というか『ヘンタイ性』というか。「未来人間」にそのまま出てくる老人の校長の女装趣味もそうなんだけど、第4話に登場するカッパが≪エロガッパ≫を演じるシーン(第1巻, p.108)には異様に作画に力が入っていそうだが、これはこうならざるをえぬであろう。
ハッキリ申せば、そこがこの本のNo.1のみどころだと思うのだが。しかし似たようなシーンが他にないというのでは、ウリにならないではないか。たかがパンチラ、されどパンチラ! いちどやったら、随意にはやめられない…という、まんが界のきびしぃ~い宿業をわれわれは見ねばならない。

そうこうとすると、この初期作品にすでに見えている、まさきセンセのお作の特徴ら…

 1) やたら多数のキャラクターが登場
 2) 劇画チックでスペクタクル方面な展開・描写への志向
 3) ラブコメ的興味
 4) エロス・ヘンタイ・下ネタ

…これらの要素をみごとに展開し消化しきって、しかもリッパな≪ギャグまんが≫にしたのが、後の「ジャパファイブ」だということになる。というきれいげな結論が出たところで、この続きは「未来人間GOGOGO」のところにでも書こうかと。

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