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「さくらんぼ論理」というタイトルは、たぶん花田清輝「錯乱の論理」(1940)のもじり。これは川島よしお先生の、ヤングチャンピオン掲載の表題作を中心に、女性誌やら何やらいろいろなところに出た作品らのオムニバス。ヤングチャンピオン・コミックス全1巻。
その単行本が近ごろはけっこうなレア品で、ずいぶん探し廻って見つけたものなんだが。そして読んでみて、『探したかいあった! ひじょうにいい!』と思ったのだが。
しかしどこへまぎれ込んだものか、現在それが当家でのレア品になってしまっている。
などと気にしていたら、これについて去年の夏に書いていた堕文が見つかった。そこでひとつ、ほんのごあいさつとして、それを手直しして掲出させていただきたい。
――― 川島よしお「さくらんぼ論理」より, 『なげやりさん』(p.108) ―――
はでめな背広を着た初老の男が、夜中のビルの屋上で、
『“造反有理” って… なんのこと だったっけなぁ…』
などとうっすら考えている。他にも少々考えをめぐらすが、しかし『そんなことは どーでも いいか…』という結論に落ちつく。
そして『どうせ 自殺 するンだし…』と言って彼はクツを脱いで、身投げの構えをとる。
念のため、“造反有理”とは『反逆オッケー』くらいの意。だがしかしオレから見ると、『どうせ自殺するので、“造反有理”ということばの意味が分からんでもよい』…てのは、ぜんぜん話が逆!
そうじゃなく、“造反有理”ということばの意味さえも忘れてしまったので、このクソくだらねえ社会ごときに屈服して彼は、ただ自殺していくハメになっているのではッ!? ま、そのことを逆から明らかに、しているがゆえの≪ギャグ≫だけど!
と、ここでもう話がつきているのだが(!)、ちょっとだけ補足いたすと。これは川島よしお先生のご著書で、そのさえわたったペンワークの色ツヤがもっとも楽しめる本。
特に高畠華宵の画風を模してるところとか、ひじょうにゾクッとさせられる。その後、21世紀の作品ではタッチがまた変わっているので、これがずいぶん貴重な一品になっている感じなのではっ!? でま、その他の内容の話は、またいつか!
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