2010/10/12

ミキマキ「ヒビキノBB ~男子校吹奏楽部ライフ~」 - ブラスは、エロスである!

ミキマキ「ヒビキノBB ~男子校吹奏楽部ライフ~」 
参考リンク:Wikipedia「ヒビキノBB」, HCB(ハニーカムベイビー)「ヒビキノBB」
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りぼんを起点に現在まで、あちこちをいろいろ渡り歩いておられる、われらのミキマキ先生。そしてこの「ヒビキノBB ~男子校吹奏楽部ライフ~」は、その流浪のありさまを象徴するような作品とも言えよう。

まずさいしょ今作は、新書館ウィングス誌でふつうに連載されていたらしい(2008)。それが同誌で、非ギャグで原作つきの「ビートロック☆ラブ」の執筆に起用されたせいで、代わりに今作「ヒビキノBB」が立ち消えに…!
それから今作の発表場所は、作者のWebに移行(*)。いまはそこで全編が読めるのが、まあ太っ腹的と申し上げる。つか、ぜひのご閲覧をおすすめいたす。
それですんだのかと思ったら、ひょいとこの9月末、今作「ヒビキノBB」は、秋田書店から全1巻として刊行される。なぜ、とうとつに秋田からかって、近ごろ作者さまがプリンセスGoldに「ノジョウライフ!~V系農場男子~」を掲載中で、その関係かと思うのだが。

とは、ずいぶん流浪しちゃったもので。まあそれはいいとして、これでやっとミキマキ先生の単行本は10冊め(共著をのぞき)! オレはファンだから、この場でひっそり『おめ~ッス!』と祝辞を申し上げる。
また、さきの流浪の過程を調べていて思ったのだが。近年このように多くの出版社で描いていて、そして少女系を起点にユニセックスな作風のギャグまんが家…といったら、かの美川べるの先生だ。
それぞれの作風の黒さにも、けっこう通じるところがあるし。そこでわれらのミキマキ先生も、まずはミカベル先生くらいまでブレイクしちゃえ!…と希望はしながら。

で、この「ヒビキノBB」なんだけど。つまりは男子校のブラスバンド部の少年たちの、ほぼまったく女っ気のない世界における、ふかしぎな生態を描く4コマシリーズ。BBは、ブラスバンドの略。その単行本の帯には、このような宣伝文が。

『男子校×吹奏楽×初体験
あぁ…お前の大事なトランペット もうこんなになってんぞ… 的な。』

ん、まあ、そんな内容かな…的な…(なげやり)。

その宣伝文の挑撥に応じてついつい言っちゃうと、今作ではブラス部の少年たちが担当しているインスツルメンツ(楽器ら)が、まさにそれぞれの自前のインスツルメンツ(お道具ら)に対応いたしており、そこらが象徴的に描かれている…的な?
すなわち、クラリネットは黒い。チューバは、やたらとデカい。パーカッションは、無用にタフな感じ。そしてトロンボーンは、抜き差しのスムースさを可能とするヌルヌルが命。…等々と。

いや。それもそうでは、確かにありながら。だがわれわれは、全編のイントロをまず見ておこう。

われらがヒーローの≪宍戸(ししど)くん≫は、響野高校ブラス部でトランペットを吹く2年生。しかし、『こんなことをしててもモテない!』と思って退部を申し出る。
するとクールな秀才の副部長が、『人手不足だから』的に慰留するので、『じゃあ代わりの奴を連れてきます!』と言って、宍戸くんは廊下に飛び出す。そして、『彼女欲しい~!』くらいに叫びながら駈けずり廻っていると…。
…とつぜんに、『じゃあオレの彼女 貸してやろっか?』、などという声が! それで宍戸くんが見たら、そこには1人の少年が、例のビニール人形(いわゆるダッチワイフ)をかかえて突っ立っているのだった。その使用料、1時間800円だとか。

そこで宍戸くんが、『そういう彼女じゃねえよ!』と言うと相手は、『チェンジかよ』と言って、別のビニール人形を、超一瞬にして息でふくらましてしまう。…ものすごい肺活量! まさにブラス部向きっ!?
そこを見込んで宍戸くんは、そのゆかいな少年≪御空(みそら)くん≫をスカウト。『音楽やってればモテるぞ!』とだまして、まんまとブラス部に引きずり込む。で、その彼が、副部長に向かって自己紹介するシーン。

【御空】 御空 宙{みそら そら} 2年
好きな楽器は尺八 好きなコードはF
好きな教師は 音楽女教師
以上(…と言って、『挿入部届』と書いてから挿の字を消したものを差し出す)
【副部長】 すごい 1年前の 宍戸の自己紹介と
まったく一緒だ(…と言って、『ごくり』とつばをのむ)

と、そんなんだが、思った以上に才能のあった御空くん。わりとすぐさまペットを吹けているのを見た副部長は、『じゃ、宍戸は辞めていいぞ』などと軽く言いやがる。
そこで、ついカッとなったヒーロー! 思わず『辞めねえよ ちくしょう!!』と叫び、そして『小さなプライドのため 吹奏楽部での青春を選んだ 宍戸だった』…(第1話, 『神の肺活量』より)。

として、お話は始まるのだった。そうするってえと、御空くんの吹いている楽器は、リアルな彼女の代理であるビニール彼女、またそれに代わるものなのだ。
そしてこのお話が、『ブラスはエロスである。』とでも言わんばかりに、何かをため込んだ少年たちが、そのたまりきったエネルギーを、屈折しつつも音楽活動にたたきつけていく…そのパターンの祖型が、すでにこのイントロに出ているのだった。

で、そのような現象をわれわれは≪昇華≫とかいう分析用語で言ったりもするが、でもそんなことは別にいい。そしてこいつらも、このままでいい。

そういえば、筆者は思ったのだが。女子校にだってブラス部はあるわけで、そこらでアレンジして合コン等をセッティング、なんて手法もあるんじゃないかと。
つまりただ一介の高校生であるより、ブラスを利用してつながりを作ることもできそうかと。そしてついには、どっかのお嬢さまに『オレのフルート』を吹かせる、的な?
…あ、超ごめんなさい! もともとが下ネタまんがなんで、このくらいはいいかと思って!

だがしかしこいつらは、そんな手段に気が付かなくていい。まったくこのままでいい。むしろかわいい少年たちが、女ごときに汚されてはいけない(!?)。せいぜいブラス部にはげんで、その≪リビドー≫とも呼ばれるこやしによって、きれいな芸術の花を咲かせてほしい!
なぜかそんな気がしたのだった、筆者は今作を見てて。さらにはここで、「ルノアール兄弟の愛した大童貞」(*)の主人公をマネして、『お前らの童貞は オレが守る!』とも言ってみたい感じ。

でもまあ、どうせ女性なんてのは伝説上の生き物にすぎないんで(!)、とりわけ心配はないんだけどな! 女子と男子との関係などは、かの「ふしぎの国のアリス」の、ヒロインとグリフォンとの関係に同じなので!
とま、ここまで気分を出すために、ホルスト「惑星」をBGMにして書いてきたが(ホルストは、本来ブラス専門の作曲家らしい)。これを手はじめに、この芸術(か何か)の薫りも高き作品は、今後もちょいちょい見てイキたい…的な!

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