2010/02/27

うすた京介「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」 - そんなには秘められてもいない『秘密』

 
参考リンク:Wikipedia「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」

ご存じの作家がMid 1990'sに世に問うた、その初連載作。そしてそれを『出世作』などと呼ぶもおろかで、いま調べたらこれのジャンプ・コミックス版・全7巻は、累計700万部以上を売り上げているとか(!)。超ミリオンセラー! さらにうわさだと連載中にいちど、ギャグでありながらジャンプの人気投票で1位を獲得したとか(!)。すごぉ~い! …等々と、ひとまず感心しておいて。

そしていきなりだが、今作の第1巻のカバーに描かれたヒーロー≪花中島マサル君≫の勇姿を、文字で記述してみれば。
まず背景は砂漠なのだが、しかし駐車禁止の標識や車のスクラップらしきものが埋まっていることから、実は未来の砂漠化したニホンの都市なのやも知れぬ。そこを独り往くわれらのヒーローは[逆三角形の体型]もカッコよく、『ステキカット』と呼ばれるそのヘアの[長~い前髪]もカッコよく、上の服は長袖Vネックの白Tシャツ(実は[紳士用肌着])で、ボトムはストレートの[ブルージーン]。シャツをキッチリとズボンに入れているので、キリリと締めた地味な[革ベルト]が見えている。
そしてオデコには[ゴーグル]をそうび、シューズはおそらく[ゴム長]、左上腕には[赤ッぽいスカーフ]を巻き、左手には[雨ガサ]と[トートバッグ]をもっている。そして右腕には、[丸めたゴザ]と[バラの花束]と[釣りざお]をかかえている。かつ腰には[虫カゴ]をブラ下げ、なおまた腰に結んだ[長いロープ]の先に[古タイヤ]を引きずっていて、さらに背中には[竹刀]と[大きな赤い旗]を背負っている。その旗に描かれた[テンコ盛りのゴハン]の絵は、彼が部長をつとめるご存じ『セクシーコマンドー部』の≪シンボル≫だ。そしてきわめつけとして彼の両肩には、本人が自分の『チャームポイント』と呼ぶ[ナゾの輪っか]がハマっている。

…というたいへんな眺めを見ちゃったわれわれは、すなおにそれへと驚いて、今作の題名どおり『すごいよ!!マサルさん』!…とでも、言わねばならないが。
そうしてただいまの描写の中に、いったい何個のあやしげなる≪シニフィアン≫(意味不明だが、みょうに意味ありげな記号)らが登場したことだろうか? いちおう自分で数えてみたら、少なくとも19個…? あれ?
そしてこれらの≪シニフィアン≫は、そのすべてが、まずは≪ファルス≫(象徴化されたペニス)をさし示すものだ。つまりそれらは『“シンボル”の≪シンボル≫』なのだ。

などと言っていて、自分でもおかしいしびっくりせざるをえない。だがしかし、そうだからしょうがない。
≪ファルス≫でなくとも、なにか性的なひみつ(の所在)がこの作品の全体にベッチョリと塗り込められている、ということにはどういう疑いもありえない。ここに現れている超大量のなぞめいた≪シニフィアン≫らのさしているのが『性的』なものだということまでは、ぜんぜん秘められていない。
何せ今作の登場人物らのはげんでいる格闘技(?)が、他ならぬ『“セクシー”コマンドー』だということくらいは、読んで読めなければなるまい。これ以上のことは、いずれ今作が再論されたときに明らかとされるだろう。いまは、ご紹介まで。

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