何をかくそう、実を申せば、筆者の大尊敬する人物がジャック・ラカン(1901-81, 仏の精神分析家)なのだが。だじゃれの達人、おやじギャグの大家、セクハラ魔王、もしくはムッシュー・ふれんちハレンチ、等々々と称すべき崇高なるお方なのだが。だいたいのところそれは、ドラゴンボールの亀仙人と同じような人なのだが。
そこでそのラカンちゃまについて何か検索していたら、まったく関係なさそうな赤松健「魔法先生ネギま!」に関連のページらが、やたらとヒットする。これはふしぎだと感じた。…なお申し訳ないが筆者は、赤松健という作家、その作品について、ほとんど何も知らない。少年誌のラブコメとか、あまり読んでない。
そしてその先を見に行って知ったのは、何とその作品「魔法先生ネギま!」にそのまんま、≪ジャック・ラカン≫という人物が登場していることだ(第27巻カバー画の右上、赤い服を着た男)。『ンだとォォォ~っ!!』と叫んで、瞬時にエキサイトしてみた自分だったが。
しかし。さらにいろいろ調べてみたら、とんとガッカリするハメになった。
てのも。皆さまはご存じやも知れないが、「ネギま!」作中のラカンとわれわれの知るラカンちゃまとが、あまりにも似てなさげ。見た目がカッコよくてケンカが強くて、しかも振るまいがオトコらしいなんて、そんなのラカンちゃまじゃないや~い!
せめてそこに、セクハラの帝王だとかおやじギャグ愛好家だとか、さもなくばケンカの仕方が陰湿だとかお金が大好きだとか(!)、その程度の属性の一致でもあったらなあ…。そもそもどうしてその人物が≪ジャック・ラカン≫なのか、ということがさっぱり分からないが、まあ実作を読んでみると、何か分かるのかも知れない。いずれの話として。
ここでまったく関係ないことも書いておくと、筆者は自分の偽名・変名として、≪雀羅閑(じゃくら・かん)≫というのを考えたこともあった。E.A.ポーの名をもじって≪江戸川乱歩≫という作家もいるので、これもありかと考えたが。
だけど恥ずかしいので使えなかった。というかそれを思いついたころには、筆者がそんなにその崇拝者でもなかった。しかも崇拝者になってさえ、そんな名前はあらゆる意味で恥ずかしい。おもはゆい。
それと。あともうひとつ、ラカンちゃまが友情出演しているまんが作品を知っている。それは1990'sのファンタジー系ギャグの大傑作こと、衛藤ヒロユキ「魔法陣グルグル」(1992, ガンガン・コミックス, 全16巻)だ。
そこでラカンは、主人公らより以前に難関ダンジョンに挑戦した≪冒険者ラカン≫として、さいしょはそのその残した日記帳として登場する。主人公らは、その記録を『攻略本』としてクエストに成功する。
という「グルグル」作中のラカンはフランス人でも何でもないが、別のところに≪ガタリ≫や≪デリダ≫といった人物らも登場しているので、これはラカンちゃまにはっきり関係あることだろう。よくも知らないが実在したガタリとデリダは、われらの師匠にたてついたフランス人どもだ。
そして≪冒険者ラカン≫、というこの響きが、われわれを少々うっとりとさせながら。けれど作中のだいぶ後でその本人が登場すると、それがまったく何でもない老人なのでガッカリさせてくれる。なくなる寸前までまったく口のへらなかったラカンちゃまとは、あまりにも似ていない。
ではありながら、グルグルの主人公たちを見習ってわれわれもまた、『ラカンの日記』的な彼のテクストらをたよりにして、≪人の心≫という超難関ダンジョンに挑戦しつつあるところなのだ。…なんて、きれいげなまとめ方はいかがでしょう?
とは言いながら、まともなクエストで行きづまる以前に。ラカンちゃまの記録されたおしゃべりや書いたもの、それら自体があまりにも意味の不明すぎな超難関ダンジョンなので、そこですでにハマリが生じているわけだけどッ!
(ここで、死ぬほどどうでもいいような説明。ラカンちゃまの『記録されたおしゃべり』を『セミネール』、つまりゼミナールや講義と呼び、その書いたものを『エクリ』、仏語で『書かれたもの』と呼ぶ、そのような習慣がある。そして皆さまが『セミネール』という語だけ憶えといてくださると、いずれ筆者がひじょうに助かるかも?)
…と。こんな筆者のミーハー話のついでとして、『「魔法陣グルグル」論』を終わらせては、あまりにもあんまりなので。それについてはあらためて、別の記事で述べ直すつもり。いやほんとうにシツレイしました、『反省してま~す』…と、すかさず流行語を使いながら。
0 件のコメント:
コメントを投稿