2010/02/27

ルノアール兄弟「獣国志」 - じゅるるるん、童貞汁♪

 
関連記事:ルノアール兄弟「獣国志」 - 三国志関係のまんが その6

上の関連記事で、すでにぞんぶんに見たところだが、

 『その昔 埼玉近辺には 現代文明を はるかにしのぐ文明が 存在した!
 それは古代童貞文明!』(ルノアール兄弟「獣国志」アッパーズKC, p.142)

などという根拠の不明な童貞讃歌を延々とたれ流しているギャグまんが、ルノアール兄弟「獣国志」。まあ『古代童貞文明』の存在は作中でも否定されているのだが、しかし『埼玉近辺』と言われたらありそうな気もするのが、その恐ろしいところ。

ところでその作品について、2つばかり補足をここで。忘れないうちにそれを書いておいて、書いたらそれをさっぱりと忘れたいので。

補足・その1。曹操に関連して今作中で『800万』という数字がしつこく出ているのを見たわけだが、筆者はその数字が気になった。なぜならば、『でたらめ出まかせっぽい数字には、必ず意味がある!』とは、フロイト様の教えたまうところなので。
そこで考えたのだが。これはそんなに深い意味とかじゃなく、作中の神頼みというイベントに対応して、『“やおよろず”の神』という八百万なのかな? 何か他の解釈があったら、ぜひのご教示ありたし!
…にしても『やおよろずの神』の加護を得るために、卑語ワイ語を800万回も唱えるって…。ずいぶんとこの作品は、まあ!

補足・その2。本書のカバーそでに、作者からちょっと気になることが書かれている。

 『2年前、私たちルノアール兄弟は中学時代の担任の家に居候していた。
 当時その教師はほぼ間違いなく童貞で、その三十路童貞とひとつ屋根の下で
 暮らすうちに自然と「獣国志」の構想ができあがった。
 そして我々が「獣国志」を携えて教師の家を出て行くや否や彼は結婚し、
 今では子供までできている。
 先生は「獣国志」にこの童貞心の全てを託したのだろう。
 そして呪縛から解かれたかのようなスピードで新たな人生に旅立ったのだ。
 「獣国志」に童貞の精霊を宿してくれた先生に最大限の感謝を』

これを読んで、『何それ』と感じた方もあるやもしれないが。しかし≪記号活動≫および≪創作≫という行為の作用として、そういうことはある、と大断言いたす。
にしても文中の『自然と』という語が出ているところのなりゆきが、あまりにも飛躍あり不自然なのではっ!? 童貞なんてどこにでもいるような気がするけれど、しかし「獣国志」のような作品は『どこにでも』はないはずだ。このようにまったくなっとくいきがたき連関の帰結として何かを作り出すのだから、まったく≪作家≫とか称する連中は始末に悪い。
さらにこの教師からジュクジュクとしみ出した大量の童貞汁はどうなったかと考えたら、とうぜんのことながらそれは「獣国志」という作品を介し、それを見ているわれわれのところに届いている(!)。まったくいまさらで手遅れだが、『読む』という行為の危険性をここで認識し直さないではいられない。

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